手口の例

概要

マインドコントロールのテクニックを駆使し、調べようのない「たたり」や「霊」を持ち出して、
たとえ迷信とはわかっている人でさえ不安になってしまう心理を利用している。
法外な値段で買わせて暴利を貪るために役割分担や手順を定めた詳細なマニュアルがある。

無料をダシに誘う

無料の姓名判断、印相鑑定、手相占い等でアプローチする。
最初はいい運勢であることを賛美しながら、相手に話をさせ、ウイークポイントを見つける。
今度は少し心配な所があると言い、無料だから、気軽に見てもらえばと、“霊場”と呼ばれる
会場に誘う。

ヨハネトークで偽霊能者を権威づける

ゲストを連れて行った案内役の信者は、霊能者を装った信者を徳の高い「先生」のように扱い、
「霊山でご修業を積まれ、過去、現在、未来を見通す霊力をお持ちです」
「大変人気のある方で、相談に乗ってもらえるのはかなりラッキー」など、いかにその霊能者が
優れているかを説いて信頼させる。

事前情報で霊感があると信じさせる

先生役の信者は宗教的な名前を名乗り、初めに予め調査してあった相談者(ターゲット)の
情報を、あたかも霊感を使って当てているかのように話す。この際、相談者の警戒心を解くため、
非常に好意的で、ポジティブな内容を話すことが多いと言う。
事情を知らない相談者は、たとえ初めは半信半疑であっても、次第に次々と当てられていく自分
の事柄を聞くうちに、本当に霊能者のことを信じてしまうと言う。

マッチポンプのためのネガティブな予言

その後頃合を見計らい、今度は一転してネガティブ(否定的)な予言を始める。このままでは、
家族が自分や病気に会う、絶家になるなどと不安を煽る。その具体的な解決方法として、
神秘的な力のある壺や多宝塔を買うように勧められる。
ゲストの財産状況や、壺や像などに支払うことが出来る具体的な金額、どの程度霊能者の
意見を信じているか、等は、相談者の案内役を通して全て霊能者や「タワー長」と呼ばれる
統括責任者に筒抜けになる仕組みになっている。
場合によっては先祖のお告げだと言って、事前に調べたゲストが出せるくらいの金額を示し
たりすることもあり、それらを知らない相談者は次々と自分のことを言い当てる霊能者を
結果的には信じ、法外な値段で壺や多宝塔などを買ってしまう。

帰らせない手口

場合によっては、長時間その場から返さない、会場係がゲストを引き止めたり、最初に
手荷物を預かることで帰りにくくする、といった手法が使われていることもある。

キャンセル防止の手口

物品の契約をしたゲストにはクーリングオフ(訪問販売の一種と考えられる場合が多いので)
を阻止するために、それにあたる期間は人に言えば御利益が無くなる、あるいは不幸な目に遭う
等と説明をしたり、現金一括払いに持ち込もうとするなど、全てにおいて用意周到に考え抜かれて
いる。

国会での議論

国会でも霊感商法問題は何十回も取り上げられ、警察庁の刑事局保安部生活経済課長が
「でもこの種の商法というのは人の弱みといいますか、人の不安につけ込むというもので、
悪質商法の中でも最も悪質なものの一つということで、全国の警察に繰り返し厳しく取り締まる
ように指示をしておるところでございます。その結果、この数年間で十三件検挙した事例が出て
おります。
各種の法令を適用して検挙しておる実態でございます。」と答弁した。
また原価の10倍から数百の倍もの法外な値段で売ることがマニュアルで指示されていたことも
語られている。

法的解釈

法的にみれば悩みや苦しみを抱えている者などに対して、霊界など科学的な根拠もない事を
言って勧誘したり、霊視を口実に人を集めたり、演じたりなどして(人の宗教心や超自然的
なものへの畏れなどを利用して)高額な金銭などを支払わせた相手方に対しては、
1.公序良俗に違反する違法な行為(民法90条)
2.詐欺・強迫にあたる行為(民法96条)
3.不法行為(民法709条(大阪地裁平成10・2・27判決)により
代金の返還・損害賠償請求ができる。

相談事例・被害報告

全国霊感商法対策弁護士連絡会の1987年から1996年までの資料によると、「相談件数」は
1990年が最も多く、2,880件。 「被害金額」は1987年が最も多く、約163億円。この9年間
で「相談件数」は約1万千件。
「被害金額」は約6,800億円にも上る。

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