明覚寺(本覚寺)グループによる
霊視商法


主な経過

1984年、後に明覚寺の管長となる男性が千葉県野田市に水子菩薩を扱う訪問販売会社を設立し、
地元の曹洞宗の寺と協力して販売していた男性が、1987年に醍醐寺の末寺として茨城県大子町に
1987年に宗教法人「本覚寺」を設立し、関東一帯にそのグループを展開した。
1988年、真言宗 醍醐派を離脱し、独立の寺として霊視鑑定を行っていた。しかし、消費者センターに
苦情が寄せられ、詐欺商法だとして損害賠償請求が次々と起こったため、一時的に活動を中止した。
その後、休眠状態にあった和歌山県の高野山 (高野町)にある「明覚寺」を買収し、関西地区で同様
の活動を再開したが、こちらでも損害賠償請求が多数起こった。
愛知県警は明覚寺系列の満願寺(名古屋市)の僧侶らを摘発した。1999年12月16日に、文化庁は
「組織ぐるみの違法性が認められる」と、和歌山地方裁判所に宗教法人明覚寺に対する解散命令を
請求した。和歌山地裁は2002年1月24日に解散命令を出した。
明覚寺は最高裁まで争ったが棄却されて解散になった。犯罪を理由にした宗教法人の解散命令と
しては、オウム真理教に次ぐ2番目の出来事であった。

霊視商法の手口

チラシなどで格安または無料相談などで人を集め、霊視鑑定をした後「水子の霊が憑いている」
「このままでは不幸になる。」と言うのは「霊感商法」と同じである。
チラシには「相談料(お布施)3000円」などと書かれてある。最初は「入信教師」と呼ばれる僧侶が
「鬼業即知法」と呼ばれる、姓名判断による相談者の因縁の鑑定するを行い、供養料を要求し、
3日間の「浄霊修法会」に参加させるように説得する。
次に「導師」と呼ばれる人物が相談者に書かせた家系図をもとに因縁の話を聞かせ、紙に書いた
インクの文字の滲み具合で供養が必要な霊を特定するという「流水灌頂」を行い、100万単位の
供養料を要求。
その後も寺に通わせて住職が個人面接を行い、更なる霊の供養のための供養料を要求。
供養料の多額さに躊躇する相談者に対しては執拗に長時間説得され、借金をしてでも払うように要求
されたという。供養料以外にも霊視商法のチラシを「護符」だとして買わされ、「護符修行」だとして
戸別配布することに動員された者もいるという。
明覚寺の管長は経験のある僧侶にトークのマニュアルを作らせ、模擬相談の研修が行なわれていたと
いう。また、各末寺や各僧侶に対し、入信者数や供養料などのノルマを課しており、その成績の順位
を発表し、それに基づく位階に応じた給与が支払われていたという。

法律論と裁判

法律的には、霊感商法等をする側が霊感等を持っていないという自覚があれば詐欺罪となることがあり、
不安の煽り方が社会通念を逸脱したものであれば恐喝罪になることがある。
「統一教会」(統一協会)の関わった事例では、1984年1月12日青森地裁弘前支部は霊感商法を行っていた
被告人2人に対し恐喝罪にあたるとされた。札幌地裁でも、「そもそも、信者らの任意団体たる連絡協議会
の存在が訴訟上主張され始めたのは、いわゆる霊感商法問題について最初に民事訴訟が提起された1986年から
7年を経過した後のことである。」「しあわせサークル連絡協議会」なる独立の任意団体の存在自体が極めて
疑わしい」と判断された。

 ◎判例1

 大理石の壺などを販売していた統一教会の信者2人が、霊感商法の手口を使い、47歳の主婦に
 1200万円を支払わせた事件で、2人は主婦をホテルの一室に約9時間半にわたって軟禁し、
 「おろした子どもや前夫が成仏できず苦しんでいる。成仏させないと今の夫と子に大変な
 事が起こる。全財産を投げ出しなさい」などと迫った。
 青森地裁弘前支部1984年(昭和59)1月12日判決は、行為が恐喝罪にあたるとして懲役2年6月
 (執行猶予5年)の判決を下した。押収された「クレーム対策委員会」と題する書面には、
 証拠を残さないように注意すべき旨が記載されていた。
 刑事事件になったのはこの1件で、他は民事の損害賠償訴訟がたくさん起こされた。
 「統一教会」(統一協会)はずっと一部の信者がやったことと責任逃れをしてきたが、
 1994年5月27日福岡地裁の霊感商法に対する損害賠償訴訟で「統一教会」(統一協会)に
 使用者責任があると、その組織的責任が初めて認定されてから、統一教会が実質的に指揮
 していたとして「統一教会」(統一協会)に使用者責任があるとした判決がいくつか出ている。


 ◎判例2

 「統一教会」(統一協会)の「霊感商法」や献金などで多額の出費を強いられたとして、元信者
 10人が統一教会に約2億6000万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は2001年11月20日、
 「価値の乏しい商品に異常に高額の金を出させた違法な行為だ」と認め、統一教会に約1億
 6000万円の支払いを命じた。一部の献金については「(原告が)信仰心から自発的にしたもので、
 「統一教会」(統一協会)の教義や宗教活動そのものが違法とはいえない」と判断した。

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